芝生の話

 芝生は、庭に敷かれた絨毯であり多目的のスペースです。また、芝生には、

  1. 雑草が、生えてくるのを防ぐ。
  2. 地面の乾燥を防ぎ、砂塵を防止する。
  3. 雨や霜柱により地面がぬからないようにする。
  4. 直射日光の照り返しうを防ぎ、地面からの放射熱を緩和する。

などの機能があります。後々の生育や管理を考えた場合、芝生を張る前には、通気性、排水性に優れた土づくりを行い、張る場所は、日当たりがよく、風通しと水はけがよいということが条件になります。
 芝生をそのまま放置しておくと葉や茎が伸びすぎたり、枯れたりして見苦しくなるので、刈り込み、目土、施肥、灌水、除草、エアレーションなどの適切な管理が必要です。


(1)刈り込み
 芝を伸びるままにしておくと、通風や日照が悪くなり、生育の衰えや障害、病害虫の被害を受けやすくなります。適度な回数の刈り込みを行うことによって、根や茎の分岐が促進され、旺盛な生育をみせ密な芝になりやすくなります。刈り込みの高さは、2〜3pくらいが、鑑賞上、芝の生育上、最も好ましい高さとされています。
(2)目土
 目土かけは、芝生地の維持を目的として行われる作業で、芝を均一に生育させる効果があり、春の芽出し前と刈り込み直後に行うのが基本です。保水性、通気性、排水性に優れた良質の土を芝生全面にむらなくふりかけ、茎の間に目土がよく入り込むようにして均します。
(3)灌水
 西洋芝は、適宜灌水することが必要です。コウライシバなどの日本芝は、乾燥に強いので、降雨のみで生育可能ですが、夏期は、朝夕2回の灌水が必要です。
(4)エアレーション
 芝生地は、踏圧などにより時間が、経過するにつれて固くなり通気や排水が悪くなるので、深さ7〜8cmの小さな穴を多数空けて通気や排水をよくします。


主な芝の種類と特徴・用途
種類特徴と用途
日本芝夏型野芝日本原産の芝で、東北・中国・九州地方に自生。低音や病中害に強く丈夫で、手入れが簡単であるが、住宅庭園には、あまり適さない。主に公園や運動場に見られ、寒冷地にも用いられる。
コウライ芝わが国の住宅庭園では、最も広く用いられる代表的な芝。低温に強く、野芝よりも葉が柔らかいので、美しい芝庭をつくる。ただし、美しさを保つためには、絶えず刈込むなど、常日頃の管理が重要である。
ヒメコウライ芝コウライ芝の改良品種。性質や用途は、コウライ芝とほぼ同じであるが、コウライ芝よりも葉が繊細で密生する。
ビロード芝葉が小さく、密な美しい芝生となるが、性質が弱く、生長も極めて遅いので繁殖が難しい。したがって公園などあまり広範囲には向かず、住宅庭園のごく限られた狭い部分に用いられる。
西洋芝バミューダ・グラス踏み圧、刈り込み、暑さに強く、環境適応性に優れるが、日照不足に弱い。公園や運動場、ゴルフ場などによく使われる。
ティフロン類バミューダグラスと他種との交配によってつくられた芝で、踏み圧や刈り込み、病虫害に強い。生長も早く丈夫な美しい芝生をつくる。公園や運動場、洋風庭園にも適す。
冬型ベントグラス類発芽や初期の生育が遅いのが欠点だが、やわらかく緻密な淡い緑の葉をもち、美しい芝生をつくる。冷涼地を好み、北海道、東北、関東北部、中部山岳、北陸地方などでよく育つ。主にゴルフ場のバッティンググリーンなどに用いられる。
ケンタッキー・ブルーグラスかなり丈夫な芝で、特に踏み圧、刈り込みに強いが、暑さに弱く冷涼地を好む。発芽が遅く美しい芝生になるまでには少々時間がかかる。公園、運動場、ゴルフ場などに適するが、北海道では、一般住宅の庭園にも用いられている。

 芝は、日本芝と西洋芝の2種類に大別されます。日本芝は、冬場は、枯れて休眠状態になります、高温多湿の日本の気候風土に適し、踏圧や刈り込みにも耐える強い性質をもっていますが、十分な日照がないとよく育ちません。西洋芝は、涼しく乾燥しているところが適しているので日本の気候では、管理が難しく一般住宅には、あまり適しません。

(社)日本造園組合連合会発行 造園施工必携より




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