飛石・敷石・延段の話

 庭園の施設の中では、比較的実用性を重くみる園路は、土を何かでカバーする舗装がなされます。園路には、飛石・敷石・延段・敷砂利・敷砂等の手法が用いられます。複数・多彩な手法がみられ、日本列島の地形と地質によってその土地独自のバラエティーに富んだスタイルを生み出してきました。さらに取り扱う作庭者の美的感覚、経験でもまったく違うものができるのが飛石・敷石・延段の楽しさです。歩くという実用面・景としての美しさの両面からも庭における重要な部分なのです。
 飛石は庭の中を一人の人間が歩くための必要最低限の舗装した道ともいえます。飾りではないので、まず歩きやすいことが第一ですが、あまり実用本位にこだわると単調になってしまいますので大型の石をいれたりして工夫します。飛石の配列には、基本の種類がいろいろあります。飛石を打つ時には、庭全体の状況に応じて調和を考慮し素材の剪定・構成法を考え、石の特性を生かします。まず大きな石を配置し、打ち始めから一石ずつ仮並べをして、何度も歩いてみては足運びに無理がないかどうかを検討しながら並べ直して据えつけます。
 敷石は庭園の中に重要な役割を果たす通路です。寺・神社などに多くの人々が訪れるところに使用していたのですが、現在では、一般庭園にも用いるようになりました。不特定多数の人が歩くための舗装といえます。石の大小の組み合わせや異なる材質の組み合わせにより、さまざまなデザインが考えられ単に機能ばかりを重視するのではなく、見た目にも美しく、景色までも意識しながら創造してきた先人たちがいます。
 敷石を短冊に長くつくったものが、延段といわれます。  


(参考 株式会社 建築資料研究社『歩くことが楽しくなる飛石・敷石作法』『やさしい造園図面の描き方』  誠文堂新光社『造園概要』)










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