身近な屋上緑化の話

 環境への意識が高まる一方,快適な時間の過ごし方,ストレス社会ならではの癒し・心の潤いが求められています。屋上空間は,ガーデニング,菜園・果樹園,寝転べるところ,アウトドアーパーティー,スポーツ,リラクゼーション・ストレッチ等いろいろの利用があります。少しでも潤いのある空間を求めて,屋上,ベランダなどの人口地盤上に庭をつくるケースが増えてきています。煉瓦やタイルを敷いた上に,鉢・プランターあるいはテーブル,椅子などのガーデンファニチャーを置いただけのテラス風のものもありますが,露地風の庭,枯山水の庭,樹木中心の庭等平地と変わりのない庭がつくられています。屋上を緑化することによって,環境全体に多くの影響を与えます。緑は,大気を浄化し騒音を吸収します。土と植物に含まれる水分の蒸発によって気化熱が奪われ屋上表面が,冷却されます。
 屋上緑化は,多くの恩恵を与えてくれますが,植物が良好に生育していなければその効果は,逆の方向にいきかねません。植栽された植物は,限られた植栽基盤で乾燥,強風等に耐えて生育しなければならないので,状況に応じた点検・管理が必要になってきます。


屋上庭園をつくるときは

○土壌改良

庭の軽量化と同時に土壌の通気性,透水性,保水性,保肥性などを確保するため土壌改良剤を混入します。最近では,軽量の特殊人工土壌が開発されてきています。

○防水対策

建築の段階で完全防水されていることを大前提としてさらに綿密な施工が必要とされます。

○荷重対策

重量のある高木や大きな石は,建物の地盤の強度や構造によって,配置を考えます。植栽は,植物の大小によって異なります。生長が早い樹種は,使用しないようにします。

○給水設備

乾燥しやすいので給水設備は,不可欠です。ホースで灌水する方法のほか,多孔管を地上あるいは,地中に埋設し自動的に灌水する方法やスプリンクラーによる灌水があります。

○排水処理

水は,植物にとって欠かせないものですが,必要以上に雨水や灌水がたまると,水漏れあるいは,根腐れの原因となってしまいます。庭をつくる前に防水層の上にスムースな排水を図るため排水層を設けます。

○風圧対策

屋上は平地より風をまともに受けます。風圧を分散させるため一本のみ植えるのを避け寄せ植えにするとか支柱を設けるとか建物に固定する等万全の対策をします。


[参考 楽しい庭づくり百科 ぎょうせい,新技術(屋上庭園)講習会 (社)日本造園組合連合会,公園緑地の維持管理と積算 (財)経済調査会]




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