木の実・草の実の話

 植物が実をつける最大の目的は,自分の子孫を残すことです。このため,実の中には子孫を確実に残すためのしくみがあります。風で飛ぶ,はじける,動物の体についていく,動物に食べられる,水流にのるなど,種子をできるだけ遠くへ運ぶためにいろいろな種類の実があります。 
秋には,さまざまな木の実や草の実が実ります。美しいものや食べられるものも多く,私たちを楽しませてくれます。また,鳥やけものにとってはきびしい冬を生きのびるための,大切な食糧です。
 今,まわりで花が咲いている樹木のなかで,今年の秋に果実が熟れるものはアラカシ,ブナ,ミズナラ,コナラ,クリで,来年の秋になって熟するものはウバメガシ,クヌギ,ウラジロガシ,スダジイがあります。春先は昨年の果実と鮮やかな緑の葉が一緒にでてきているのがまたとてもきれいで見とれてしまいますし,秋に枝をよくみると,昨年の果実と今年の果実がそろってついているのがとてもおもしろいのです。 
 表紙の写真のキブシは,果実に含まれるタンニンが黒色染料の五倍子(ブシ)の代用になるところからついた名前だそうです。9月の中ごろに実が大きく成長しているとき枝の先端をみると来春咲く花穂の用意ができているのがわかります。偶然に出会った花や実が気になって次回は違う季節にと思って同じ場所に行くときがあります。そんな場所がふえてくるのもまた楽しみです。




参考(グリーンブックス25 木の実・草の実 三好 保徳 著 ニュー・サイエンス社)



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