害虫発生の予防のはなし

以前にお伝えしたことがありますが,当社では,2009年からサザンカ・ツバキの葉裏にあるチャドクガの卵塊の早期発見をし排除するために,この季節に,まわりだしまして3年経ちました。今年は,雪解けが遅く害虫の発生も遅く感じられたので作業を見合わせ,ご希望された方へのみお伺いいたしました。

お庭の年間管理作業にお伺いしたときに,チャドクガの被害の話がでることがあります。チャドクガは、卵塊・幼虫・成虫ともに毒針毛があって,一年を通して被害があるので,発生してから薬剤を散布するだけでは解決しないことから,少しでも被害を少なくしようと,毎年,発生しているお庭のお客様に了解をもらいながら始めました。作業時には,イラガとオビカレハの卵も排除してきますので,害虫発生の予防につながっています。伺ったときには,樹木ごとに,発生した卵塊の位置・数等の記録をとっています。植物が健康に育つように,病気の原因となる病原菌や害虫を寄せ付けないようにと,お庭の環境づくりを考えています。害虫は,決して一斉に大発生することはありません。ひとつの葉や株から始まり,それが何日か経って全体的に広がっていくので,発生の初期段階で発見し,被害が広がるのを防ぐことがもっとも効果的です。


有毒害虫の生態と被害
チャドクガ 

茶毒蛾の名前のとおり,チャ、またはツバキ・サザンカ・ナツツバキに大発生し,刺すケムシとしてはもっとも問題の大きなものです。幼虫には、16対の毒針毛の群生部があり約50万本の微細な毒針毛をもっていて,卵から成虫に至るまで全期間を通じて毒針毛が付着しています。接触時の痛みはほとんどなく,数分ないし数時間後に,ピリピリした感じに続いて,激しい痒みがおこり,23週間続きます。まず毒針毛を除去するのが第一。セロテープかバンソウコウをあてて毒針毛を除去するのがよく,流水でも効果があります。

ドクガ 

成虫が羽化するときに幼虫期の毒針毛を尾端部に付けて飛び出すため,夜間灯火に飛来したときに毒針毛を鱗片や鱗毛とともに撒き散らすので人に被害が出ます。皮膚に触れただけでは症状は現れませんが,擦ったり掻いたりして皮膚に刺さると強い痛みが出ます。幼虫は,サクラ・ウメ・バラ・カキなど多食性

カレハガ 

カレハガ類の幼虫による被害は,マツカレハ幼虫によるものが頻度も多く,症状の重い。そのほかツガカレハ,
クヌギカレハ,ヤマダカレハ,タケカレハなどによるものがみられます。症状は,ドクガ属と異なり,接触時に激しい
痛みを感じます。
オビカレハは無害

イラガ 

イラガ類の毒棘に触れると疼痛を感じ,ケムシの中でもっとも痛みが強い。数分後の発赤,膨疹を生ずる。しかし,
予後は他のものより良く,放置しても1〜2日で治癒し,痒みや全身症はおこらない。

マダラガ

タケノホソクロバ,ウメノスカシクロバ,リンゴハマキクロバなどの被害が多く,症状も重い。毒針毛に触れると,激痛
を感じ,ついで発赤,丘疹が生ずる。翌日くらいから激しい痒みがおこり,1〜2週間続く。全身症状をおこすことはない。

ヒトリガ類 

ヤネホソバ,シロホソバの被害がみられ,症状・治療ともマダラガ類と同様。

アメリカシロヒトリは無害
  アメリカシロヒトリ産卵中アメリカシロヒトリ蛹化して冬を越す

                               参考(野外の害虫と不快な虫 全国農村教育協会)